麹町相続研究所

アラサー税理士が、相続、贈与、事業承継について考える

負担付贈与

おはようございます、税理士のカワサキです。

今日はバブル期に節税手段として用いられていた負担付贈与について。

これもタワーマンション節税同様、不動産の取引価額と相続税評価額の差を利用した節税策です。例えば、親が1億円借り入れて取得した土地の相続税評価額が5000万円だったとしましょう。この土地(取引価額1億円、相続税評価額5000万円)に5000万円の借入金を付けて子に贈与するのです。この場合、5000万円の土地と5000万の借入金を贈与するので、プラスマイナスゼロとなり贈与税は課税されなかったのです。

ただし、実際には1億円で取引される土地なので、贈与を受けた子は実質的に5000万円を無税で受け取れる形となります。また、親にも5000万円の借入金が残るため相続財産を圧縮することもできたのです。当時、こういった取引は国税当局も把握し難かったことから、容易に親族間の財産移転を無税で行うことができました。この取引は「悪魔の囁き」と称されていたようです。

しかし、この節税策は現在では行うことができません。平成元年に出された通達によって、前記のような事例については、親から子に移転した土地の「時価」を路線価等の相続税評価額ではなく「通常の取引価額」(取得価額)によって評価することとされたのです。

前記の例の場合、相続税評価額5000万円の土地に5000万円の借入金を付けることで無税での財産移転が可能でした。しかし、相続税評価額が1億円となると、5000万円の借入金を付けても差額5000万円に対して贈与税が課税されることとなります。また、1億円の借入金を付ける場合、贈与税はかからないものの同額の資産と負債が移転するだけで、実質的な財産移転はできないこととなってしまうのです。